「人を育てる」から「人が育つ」へ
先日、「みんなの学校」という自主上映映画を観て、「人が育つために何ができるか考えよう!」というワークショップに参加してきました。この「みんなの学校」というのは、大阪市立大空小学校のドキュメンタリー映画で、すべての子供が共に学び、不登校ゼロの奇跡の小学校といわれています。
そこでは、校長を先頭に教師や父兄が一体となり、「子供を育てる」のではなく「子供が育つ」ための条件を全てのこどもと一緒に取り組んでいくというもので、毎日のように問題に取り組んでいくプロセス、その問題を克服しながら関わった人みんなが成長していく姿を目の当たりにして沢山の気づきがありました。
http://minna-movie.com/index.php
さて、映画は大阪の公立小学校の話でしたが、そこからのメッセージは今の世の中に沢山の大切なことを伝えていると思いました。
特に私に強く響いたメッセージは次のようなものです。
①学校はだれのものか?校長のものでもなく、先生のものでもなく、子供もふくめたみんなのもので
ある。会社も社長のものでもなく、株主のものでもなく、社員を含めたステークホルダーみんなの
ものである。日本も総理大臣や政治家のものではなく、日本人みんなのものである。
地球はだれのものか?一部の先進国のものでもなく、人間のものではなく、全ての生き物のもので
ある。
②人は、もともと個性を持って育つという素晴らしい能力を持っている。
「人を育てよう」とすればするほど、育てる側の価値観やこだわりが優先してしまい、一人一人の個
性や得意な能力を発見しにくくしてはいないだろうか?
③我々は、問題を起きないことに目を向けがちだけど、起きた問題にどうやってみんなで知恵を出し
合って克服していくが大切で、それが「人が育つ」ことにつながるのではないだろうか?
④「人が育つ」ということはそれに関わる「自分たちも一緒に育つ」ということである。
この自分はまだ成長途中であるという認識こそが、「人が育つ」ことを支援するために最も大切な
ものではないだろうか?
⑤人は人(や生き物)との関わりの中で成長する。
こんなメッセージを受け止めていると、ふと「奇跡のリンゴ」で有名な青森の木村秋規さんの話を思い出しました。青森でりんごを作っていた木村さんは、虫に食われたり、病気になりやすいデリケートなりんごを育てるのに沢山の農薬を使っていくうちにそのやり方に疑問を持つようになりました。長い年月をかけ試行錯誤をいくら重ねてもうまくいきませんでした。ある日、自殺しようと山の中に入っていった時に偶然に野生のりんごをみて、あるヒントをつかみました。そして、徹底的に自然に近い形でりんごが育つように環境を整えるだけで、腐りにくく濃厚でおいしい味のリンゴが育つことに成功しました。木村さんは「すべてはりんごが教えてくれる」と言っています。そのことばは、まさに「人が育つ」に通じると思いました。
自然の生き物は人間も含めて、「自ら育つ」力をもっている。いつの頃からか、人間はそれを忘れてしまったではないでしょうか?
そう考えるとNenokiの取り組もうとしていることは、かなり大変で困難なことだけれど、大切なことでもあり、楽しいことでもあるような気がしてきました!